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チャーハンの味付けは醤油一択

釣りとバイクそれから適当に思った事を中華鍋に入れ醤油をぶち込み文才を磨こうと試みる何か

折れた前歯と無駄な前歯のお話

私が小学一年か幼稚園の時だった。忘れもしない、友達の家でパーティをしていた時だった。私は色々なお菓子を食べていて手近にあったチョコレートクッキーを前歯でかじった。

その時だった、「ベキッ」と嫌な音が激痛と共に起きた。最初は突然の事過ぎて訳が分からなかったが歯に触れた瞬間すぐに理解した。


歯が折れたのだ。


ただ、ぽろっとはいかずまだ神経が繋がった感じだった。
私は親に半泣きになりながら訴えたが親はどうせ乳歯だしと笑うだけだった。仕方なく、まだ繋がっていたので修復してくれるだろうという淡い期待と共にその場は納めた。
しかし、この時に油断したのがいけなかったのだがその時私はそれを知る由もなかった。

そのまま遊びは続いた

西の空は明日の天気を知らせるかのように紅く染まり、東の空は今日の終わりを知らせていた。

親達もいそいそと帰る準備を始めていたので私達子供もそろそろ終わると理解していたが気付かない振りをして遊んでいた。そんな時だった。落ちていた剣のオモチャでずっこけたのだ。

そして、起き上がると畳から歯が生えていた。ニョキッと、キノコのように生えていた。数秒後再び激痛が襲ってきて、折れたのだと残酷にも痛みが知らせてきた。

この後、すぐ病院に行ったが勿論付かずむしろ残った神経を抜かれた。


因みに歯が折れた時はすぐに冷えた牛乳に漬けると再びくっ付く事があるそうだ。 何故、牛乳かというと、牛乳は体液と浸透圧やpHが同じだからだ。生理食塩水などでも良いらしいが一番身近なのが牛乳の為推奨されている。
それから、リミットは30分らしいので折れたら直ちに病院へ行く事をお勧めしたい。

だが、折れた事は悪い事ばかりでは無かった。守るものがない者は強いのだ、何せ神経すらないのだから。一番は麺類を食べるのが楽であった事だろう。噛みながらすするという荒業が成せるからだ。
とはいえ、歯を磨く時は、随分気を使う上、前歯を磨く時はガタガタして非常に苦労した。歯ブラシが折れた所に引っかかると痛いのだ。
それも、歯が生え終わるのには結構時間が掛かった。詳しくは記憶にないが半年くらい要した気がする。

そして、前歯が生えて始めようやく充実した生活を送れると思っていた矢先だった…


私は前歯の裏に凹凸があるのに気がついた。最初は余り気に掛けていなかったのだが日が進むにつれ、いよいよ食事中に舌に違和感を覚える程になっていた。


そして、ある日親にその事を伝え口の中を見てもらうと驚いた。
確か夏も終わりを迎え秋めいた頃だったと思う。
歯が生えてきていたのだ。まるで折れた歯を補うかのように。

しかしそれは、余計なお世話というやつだ。もう永久歯が生えてきているというのに、ヒーロー気取りなのか遅れてやって来やがった。


学校に行く直前に親に話したものだから親も慌てていだが病院に行く事になった。学校が休める事になりそうだと私は内心喜んだ。しかし、その考えはあまりにも浅はかだった。あの時は学校以上の苦痛を知らなかったのだ。「校庭開放だけ行こう〜」とか呑気に考えていた当時の私は本当に愚か過ぎた、愚者という言葉がぴったりだと今では思う。

そして、病院で診て貰うと「無駄な歯が生えているね」との事だった。正式名称は過剰歯。もっとカッコいい名前を付けて欲しかった。遅れてやって来たのだからもっと切り札的な、ファイナルウェポンとかジョーカーとかワイルドカードとかそういうのを過剰歯自身も望んでいたと思う。

なのに、そのまんま。過剰歯がいたたまれない。

過剰歯は進化の過程で無くなった筈の歯が何故か復活する先天的欠如歯でどうして過剰歯が生えるのか、現在まだ詳しいことは分かっていない。歯の元となる歯胚が過剰に作られる、複数に分裂して多く作られてしまう為など諸説あるそうだ。

とはいえ、過剰な事には変わり無く抜歯する事となりその日すぐ病院にて行われた。

痛すぎてあまり記憶にないがドリルみたいので歯肉を穴を開けてそれからペンチのようなもので錆びついたネジをこじろうとでもするかの様に私の口の中で何かをしていた。取り敢えず、激痛だったのは確かであった。

医療というより工業、治療というより修理をされている様に感じた。そのうちツルハシでも持ってくるのではと恐れた。甚だしい話だか治療してくれた先生を心底疑っていた。

英雄過剰歯は医者に敗れた。
歯医者と戦い英雄過剰歯は敗者となった…


数時間で治療は終わったがその日、一日は痛みは引かず校庭開放にも行けなかった…






それから数十年、英雄が再び現れる事はなかった…


それは安永である筈なのだが、どこか寂寞たる想いを秋を感じる頃になると決まって風が運んでくる。





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